【塾コラム】「気分」は学習にどう影響するのか

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塾に行く気分
中学生でも高校生でも大学生でも、なかなか勉強のスイッチが入らず気分がのらないことってありますよね。私が天王寺で行って言いた塾でもそういった子が多数いた。

これから紹介する物語は、スコットランドのオーバンという港町の沖、水深6メートルが舞台だ。スコットランド西岸沖にヘブリディーズ諸島がある。オーバンは、その内側の島群の一つであるマル島の入江に面した港町で、古くからさまざまなものが沈んでいる地だ。

1934年にァアメリカの蒸気船「ロンド号」が沈んだのもこの近くで、捜索者が水深%メートルに潜ると、スキューバの器具の鉄の部分にさまざまなものが付着する。ほかにも、1889年に行方不明になったアイルランドの「シーサス号」や、1954年に沈んだスウェーデンの「ヒスパニア号」など、数隻の船の残骸も眠っている。この付近には、サメ、タコ、イカをはじめ、ウミウシと呼ばれるカラフルな海の軟体動物が生息している。

1975年、スターリング大学のふたりの心理学者が数名のダイバーを雇い、学習に関する風変わりな実験を行った。心理学者のD・R・ゴッデンとA・D・バデリーは、多くの研究者たちから支持されているある仮説を試そうと考えた。その仮説とは、「人は勉強していたときの環境に戻ると、より多くのことを思いだせる」というものだ。これはいわば、探偵小説でよくある、「ではヒギンズ夫人、殺人のあった晩のことを思いだし、あなたが見たことや聞いたことを正確に教えてください」とた尋ねることの変形だ。

心理学者も探偵のように、勉強した場所の特徴(照明、壁紙、BGMなど)が、脳により多くの情報を引きださせる「手がかり」になると考えているのだ。ただし、ヒギンズ夫人が思いだそうとして再訪するのはエピソード記憶内の殺害現場だが、心理学者たちは再訪先を「情報」に適用しようとした(彼らは記憶を再訪して思いだすことを「復元」と呼んだ)。ここで言う情報は、エストニア生まれの心理学者エンデル・タルヴィングが「意味記憶」と名づけたものを指す。彼らの仮説は強引に思える。二等辺三角形の定義やイオン結合、『十二夜」の主人公ヴァイオラの役割について勉強しているときに、ヘッドホンから聞こえてくる音楽をいったい誰が覚えているというのか?それに、ゴッデンとバデリーがこの実験を思い描いていた当時、復元の根拠となる材料はひどいものしかなかった。

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たとえば、立った状態の被験者の頭に派手に光る照明を仕込んだ箱をかぶせ、イヤホンを通じて聞こえる単語を覚えさせるという実験が行われた(ふたりの被験者が気分が悪くなって途中で離脱した)。板に縛られた状態で無意味な音節を覚えさせるという実験もあった。

こちらは、板がシーソーのように傾き、まるで子どもが校庭で残酷ないじめを行っているようだった。復元は思いだす力を高めると思えたが、ゴッデンとバデリーには確信がなかった。だから理学者が想像で環境をつくるのではなく、被験者は自然に感じるが普通とは言いがた元の理論を試してみようと考えた。そこで、8人のダイバーを集め、水深6メートルあたりで10の単語を覚えさせた。

その後、彼らを2グループに分けた。そして1時間後、一方のグループには陸地で単語の確認テストを行い、もう一方のグループには潜るときの装備を付けさせ、水中でテストした。採点者は陸にいて、防水のマイクを使ってやりとりをした。結果はテストの場所によって大きく分かれた。水中でテストを受けたダイバーのほうが、陸でテストを受けたダイバーよりも%パーセント多く単語を思いだせたのだ。これはかなり大きな差だ。

そうしてふたりの心理学者は、「勉強していたときの環境が復元されたほうが、より多くを常に思いだすことができる」と結論づけた。

ダイビングマスクの向こうに流れる水泡が、覚えた単語のアクセントの位置を思いだすきっかけとなったのかもしれない。マウスピースをくわえながら行うリズミカルな呼吸、担いでいるタンクの重さ、ウミウシが群れで動く姿がヒントになったのかもしれない。あるいは、単語という意味記憶がエピソード記憶(潜りながら勉強したという経験)の一部になったのかもしれない。きっと、いまあげたすべてが思いだすきっかけを与えたのだろう。いずれにせよ、水中で学習した場合、その状況を復元することには効果があるようだ。

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