手順や環境に変化をつければ 「学ぶカ」は強化できる

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このように、視点を変えるということを、私たちはしょっちゆう行っている。たとえば、俳優の名前を思いだしたいときがそうだ。その俳優が出演した最新作の場面をたぐり寄せたが、顔はたいわかっても名前が思いだせない。新聞に載っていた顔、テレビ番組に出演していた姿、生で見たことがあればそのときの記憶まで引っ張りだす。このように、脳内にある複数のレンズを使って名前を思いだそうとするのだ。複数を使うほうが、自然と情報は多くなる。

ミスはこれ以降、デジタルを使った実験に移行した。学生に部屋を移動させるのではなく、短い映像を使って背景情報を生みだすようになったのだ。

彼の典型的な実験方法を紹介しよう。まず、被験者を2グループに分ける。そして、一方にはスヒリ語の単語8個を、5分ずつ5回の学習時間で覚えてもらう。単語は1個ずつスクリーンの背景に同じ映像(駅の風景など)が無音で映っている。これにより「同じ環境」という条件が生まれる。もう一方のグループも勉強する単語や学習時間は同じだが、背景の以外の違いは一切ない。

ところが、2日後にその単語のテストを実施すると、背景が変わっループのほうが点数が高く、彼らが平均B個のスワヒリ語を思いだしたのに対し、背景がずったグループは9個かm個しか思いだせなかった。実は、私はこの手の話に目がない。というのは、じっと座って勉強するのが8分も続かないからだ。だから、落ち着きのなさが学習を深めると信じたい。

また、背景の変化が学習に役立拠が、もう少し確かなものになってくれたらと思う。この分野の研究は、正直言って、行きつ戻りつしている感じがする。科学者たちはいまだ、どの手がかりがもっとも重要か、どのタイミングでどのように想起する力が本当に高まるのか、といったことを議論している。背景情報の影響はわかりづらいので、実験で再現するのは難しい。ついでに言うと、「背景情報」を定義するのも難しい。

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気分、動き、BGMなども含まれるのなら、単語、歴史の一節、スペイン語の宿題に取り組むときのあらゆる変化も背景情報になってしまう。考えてみてほしい。手でメモをとるのと、キーボードを使ってタイプするのは別の活動だ。立って勉強する、座って勉強する、ルームランナーで走りながら勉強するのもそれぞれ違う。授業に学習テクニックの適用を勧めていることで有名なダニエル・ウィリンガムは、試験の復習をするときは真っ先にノートを見るなと学生にアドバイスしている。

「ノートは脇に置いて一から自分で概要を作るようにと学生に伝えている。教科書の内容を再編するためだ」と彼は私に言った。「そうすれば、覚えることについて改めて考えざるをえなくなり、これまでとは違った見方でそれを見ることができる」私たちは、このようなことを「環境」の一部にもしているのではないのか?そのとおりである。

ただし、背景情報の研究が私たちに伝えようとしているのは、結局のところ、環境を変えさえすれば、どの部分を変えるかは大した問題ではないということだ。イギリスの哲学者ジョン・ロックは、厳格な儀式にもとづいてダンスを練習し習得した男性について語ったことがある。この男性は必ず同じ部屋でダンスの練習をし、その部屋には古いトランクが置いてあった。残念ながら、ロックの話はこう続いた。

この日立っ家財道具があったせいで、踊るときのターンやステップのすべてにその存在が混ざってしまった。素晴らしく上手に踊れるようになったが、部屋にトランクがあることが条件だった。ほかの場所へ行くと、そのトランクか別のトランクが所定の位置に置かれていない限り、踊ることができなか部屋にあるトランクは外へ出そう。

自分の力を発揮することになる状況を予測すないのだから、準備するときの環境はいろいろと変えたほうがいい。人生には、抜き打ちテストをされるときもあれば、自発的に何かに参加するときもあれば、即興で何かをしないといけないときもある。だが、従来のアドバイスどおりに順守すべきルールを確立しても、それらを必ず守れるとは限らない。

それよりも、場所を変えてみるといい。時間帯を変えてみるといい。部屋にあるギターを外に出そう。部屋でしていたことを、公園や森でしてみよう。いつもと違うカフェに行こう。練習するコートを変えよう。クラシック音楽の代わりにブルースを流そう。いつもの手順や環境に変化を持たせれば、予行練習の内容が豊かになる。

学んだ知識や技術に磨きがかかり、それらを活用できる時間も長くなる。環境の何かを変えること自体が学習の強化につながり、自分を取り巻く環境に頼らなくても知っていることを思いだしやすくなる。

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