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【塾コラム】テストを失敗させるのは「流暢性」

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この話はちょっと意外に思うかもしれないが、こちらのほうがテストを台無しにする人に深く関係している。問題用紙を開いたときに、試験勉強で解いた問題や、黄色のマーカーで線を引いたことが目に入ってきたという経験は誰にでもあるだろう。前日にたやすく空で答えられた名称、理念、公式が並んでいる。引っ掛け問題も見たことのない問題もない。それなのに失敗する。いったいなぜなのか?どうしてそんなことになるのか?

天王寺の塾で働いている私自身、最低最悪の失敗をしでかしたことがある。高校生のとき、大学レベルの授業を行う上級クラスに入るには、三角法の学年末試験で高得点をとる必要があった。だから、前から準備をした。試験当日、私はほっとした。勉強しておいた概念がいくつか出題されてい問題とよく似た問題もあったからだ。

しかし上級クラスには入れなかった。原因はもちろん私自身だ。私は「試験を受けるのが下手な子ども」だったし、自分を責めた理由はすべて間違っていた。

塾の先生も挫折を経験している

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流暢性とは、情報を適切に素早く処理し出力する能力のことである。事実や公式や要旨がその場ですぐに思いだせると、翌日や翌々日になっても思いだせると信じてしまうのだ。この流暢性が招く幻想は非常に強力だ。主題や課題の内容をつかんだと思えば、それ以上勉強する必要はないと思い込む。人は忘れるという事実を忘れてしまうのだ。

流暢性による幻想を生みだす「学習テクニック」は数知れない。マーカーで線を引く、試験対策を立てる。教師が配る章の概要や参考書だってそうだ。流暢性は自動的に錯覚を引き起こす。無意識に錯覚が生まれ、復習や練習の必要性を正しく判断できなくなる。

「同じ内容の勉強を2回するとき、勉強する間隔をあけると2回日の勉強が大変になるとわかっているので、間隔をあけるのは非生産的だと考えてしまう」

ウィリアムズカレッジの心理学者ネイト・コーネルは私に話した。

「だが事実はその反対だ。たとえつらいと感じても、間隔をあけたときのほうが多くを学ぶ。流暢性が判断を惑わせるのだ」

だから、テストの悲惨な結果を「テストに対する不安」のせいにする。それ以上に、自分の頭が悪いせいにしてしまう。ビョーク夫妻が「望ましい困難」と呼ぶ原理を思いだしてほしい。

脳の記憶を掘り起こす作業が大変になるほど、学習の力(検索と保存の力)が高まる。流暢性はこの方程式の裏返しだ。事実を簡単に思いだせるようになるほど、学習の力が衰える。勉強して覚えた直後に復習しても意味はない。

記憶に何のメリットも生まれない。つまり、流暢性が生みだす幻想が、テストで平均点を下回る成績を招く主犯なのだ。不安のせいでもない。頭が悪いせいでもない。不公平が原因でも、運が悪いのでもない。
元凶は流暢性にある。

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