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【塾コラム】分散学習のソフトウェア 「スーパーメモ」の誕生

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塾での勉強はどのくらいの時間が必要だと思いますか?天王寺にかかわらず、日本全国、どこに住んでいても全ての受験生の勉強に必要な時間は等しいと言えます。もちろん志望校によっては変わりますが、、

バーリック家族の研究にと同時に、、、

1982年、バーリックが家族を被験者にした実験に取りかかったのとほぼ同時期に、ピョートル・ウォズニアックという8歳のポーランド人大学生が、やりすぎとも言える自身の経験にもとづいてこの問いの答えを算出した。ウォズニアックは自身の勉強スピードから、英語で科学論文を読んだりほかの科学者と会話できるようになるためには、一日4時間の勉強を何年も続ける必要があると判断した。

だが、彼にはそれだけほど抱えているあいだは時間がない。だから、もっと効率のいい勉強法を見つける必要があった。あるかどうかもわからない方法なのだから、自らを実験台にして探すしかない。ウォズニアックはまず、覚えたい約3000の単語と1400の科学的事実を英語でデータベース化した。それを均等に3グループに分け、時間の分散の仕方を変えて勉強に取り組んだ。2日おき、4日おき、1週間おき、2週間おきというように、勉強時間の間隔を変えたのだ。そして、勉強の成果を詳細に記録し、新たに覚えた単語や事実が難なく思いだせるようになるタイミングを見極めようとした。

ついにはっきりとしてきたパターン

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記録をつけ始めると、しだいに一つのパターンが見えてきた。1回勉強すると、新しい単語を2、3日覚えていられた。そして翌日に復習すると、覚えていられる時間が1週間前後に伸びた。その1週間後にもう一度復習すると、1カ月近くたってもその単語を思いだすことができた。ウオズニアックは、流腸な英語を保つのに最適な間隔を見つけるため、進披状況を追跡できるようにコンピュータをプログラミングした。

「最適な間隔は、相反する二つの基準にもとづいて算出される」と、彼は当時書き残している。「勉強と勉強の間隔は、復習回数を最低にし、いわゆる分散効果が最大限に高まる長さであること。そして、覚えたことを思いだせるかどうか確認できる短さであること」

ほどなくして、ウォズニアックは彼が構築した学習システムのリズムに従って生活し、すべての教科の学習にそのリズムを適用するようになった。英語学習の実験からアルゴリズムが生まれ、それに従うことがいつしか彼のミッションとなった。
そして1987年、ウォズニアックはとうとう、そのアルゴリズムを「スーパーメモ」というソフトウェアにしてしまった。

「スーパーメモ」は、ウォズニアックの計算に準じて学習を支援してくれる。フラッシュカードとカレンダー機能がついていて、初めて単語を勉強した日を記録し、ウオズニアックが見つけた最適な間隔でその単語を表示する。

前に勉強して覚えた単語を、脳が検索して引きだせなくなる直前にスクリーン上に映してくれるというわけだ。使い方は簡単で、1990年代にフリーソフトとして誰でも入手できるようになると、中国やポーランドで英語を学ほうとする若者を中心に広まった(現在は、専用サイトとアプリで利用できる)。ウォズニアックのこのソフトは、実質、エビングハウスの実験をデジタル世代に向けて焼き直したものである。

彼が生みだしたアルゴリズムは、学習時間の間隔についての重要な問いにてくれた。外国語の語彙や科学の定義など、事実に関する情報を習得して記憶にとどめたいなら最初に勉強した1、2日後に復習し、その次は1週間後、その次は1カ月後に復習するのが最適だ。1カ月を過ぎると、復習する間隔はさらに長くなる。1992年になる頃には、研究室での関心の対象として始まった研究は、教育に活かせる可能性を膨大に秘めていると考えられるようになっていた。

やっぱり分散して勉強する方が良い?

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ある研究グループは、小学3年生に足し算を教える時間を毎日1回設けること5日間続けるほうが、毎日2回設けて10日間続けるよりもはるかに効率的だと実証した。別のグループは、細胞、有糸分裂、染色体といった生物の定義を中学生が学ぶ場合、1回の授業で学ぶよりも、間隔をあけて複数回に分けて学んだほうが記憶に残りやすいことを実証した。

そして、「スーパーメモ」のように、時間がたつにつれて学習の間隔を広げていくことが、知識を定着させるのにもっとも効果的だと思われるようになった。ネバダ大学の心理学者で分散効果に関する論文の査読者のひとりでもあったフランク・N・デンプスターは、分散効果のことを「学習に関する研究調査から生まれたもっとも素晴らしい現象の一つ」と評した。

年が明けた1993年、「バーリック家4人の研究」がある雑誌に掲載された。ウオズニアックのことを、流陽に使える状態の維持に必要となる最小限の復習回数を教えてくれた人物と見るなら、バーリック家の4人は、実生活に学習を取りいれた場合、学習間隔を最大限にあけることを提案してくれたと言える。

実験を始めてから5年後、パーリック家の4人はもっとも復習間隔をあけてのぞんだテストで最高得点を記録した。このとき彼らは、2カ月おきに10回復習した。この最終テストでは単語のgパーセントを思いだすことができ、2週間おきに10回復習してのぞんだテストでは、3パーセントしか思いだせなかった。

この実験を始めた当初は、2カ月復習しないでいたときのほうが、2週間おきに復習するのと比べて多くの単語を忘れた。だがその差はすぐに縮まった。何しろ4人は、1回の勉強にっき、リストにある単語をすべて覚えるまで勉強したのだ。実験の最終段階となり、2カ月の間隔をあけたときにはテストの成績が10パーセント向上した。「誰がこんな結果を想像できただろう」とパーリックは言う。「私は思いもしなかった。2カ月間隔があけば、すべて忘れるだろうと思っていた」

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