すべての受験はたった一人の闘いになります。
孤独感というのは、社会人の勉強にとって想像以上に大きなものです。よく受験勉強は孤独な戦いだといいますが、たとえば大学受験をめざす高校生なら毎日、同じ目的をもった仲間たちとすごせるのです。
そこでいろいろな悩みを打ち明け合ったり、ときには気晴らしに遊んでみたり、苦手な科目を教えてもらったり情報交換したりといった、さまざまなコミュニケーションが取れます。自宅で深夜、机に向かっているときでも、「いまごろはみんなも勉強しているんだ」と思えば決して孤独ではありません。
ところが社会人の勉強には、通常は励まし合う仲間もいないし悩みを相談する相手もいません。情報も乏しく、自分のレベルを客観視できる機会もありません。仕事の疲れも手伝って、一人で机に向かっていても心細い気持ちになってくることがあります。その心細さをどう乗り越えていくかというのも、社会人の勉強法の大切なテーマになってくるはずです。
そして同じことは、共通の目的をもった仲間がいるはずの受験生にも当てはまります。どんなに励まし合っても、勉強というのはつまるところ、たった一人の地味な作業になるからです。誰でも、不安や心細さと向き合いながら、塾などに通い、それを乗り越えてきたのです。
もちろん、その方法はかならず見つかります。
この本の中でもさまざまなアドバイスを試みますが、何よりもあなた自身が「勉強しよう」「合格しよう」という前向きな気持ちになったのですから大丈夫です。
孤独感や心細さを乗り越えさせるものは、その朗らかな向上心になってきます。
事実、すでに大勢の人が、「勉強しよう」、「大学受験に合格しよう」と決心してやり抜き、夢や目標を実現させています。あなたもいま、そのスタートに立ったことをどうか自分の喜びとしてください。道すじ(勉強法)はすべて、この本に簡潔に示します。
あなたに「大学合格」の瞬間が訪れる!
大学受験でも資格取得でも、どんな勉強でも決して忘れてはいけない気持ちがあります。
それは「自分を信じる」ということです。
このことだけは、長く受験や勉強の世界に関わり続け、大勢の受験生と向き合ってきたわたしが自信をもっていえることばになります。
「飽きっぽい」
大いに結構です。わたし自身、あきれるほど飽きっぽくて集中力のない人間です。
「勉強が嫌いだった」「受験が嫌い」
気にすることはありません。世の中に勉強が好きという人間がいるならぜひ会ってみたい、わたしは本気でそう考えます。
「自信がない」
最初は誰でもそうです。スタート地点で自信に満ちているのでしたら、勉強なんかしないでいきなり大学受験すればいいのです。
とにかくどんな不安があったとしても、「勉強しよう」「合格しよう」と決心したのはあなたです。
あとは自分を信じて、最後までやり抜くしかありません。
塾や学校で勉強していることを信じていくしかないのです。
勉強は続けることで自信を育てます。
予定通りに進まなくても、たとえ30分でも机に向かって参考書を読んだり問題集を解いたりすることで、自分が前に進んでいることを実感できるからです。停滞してはいないという実感ほど、わたしたちを励ますものはありません。
だから勉強している人はいつも明るく、元気です。
あなたが受験生ならそのことは実感しているはずです。塾で見かけるライバルや受験仲間の顔を観察してみるといいかもしれません。
社会人の方でも、受験生のころを思い出してみてください。決してつらい日々ばかりではなく、勉強することで気持ちが張りつめたり、夢がふくらんだりしたはずです。
みなさんの決心は間違っていません。最後まで自分を信じて、朗らかな気持ちで勉強に取り組んでください。
「自分を信じてよかった」
合格を勝ち取った人は、この短いことばがこころに浮かんできます。みなさんにも、きっとそんな瞬間が訪れることを祈っています。