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「脳」のお話【てんかん患者の悲しみ】大阪塾講師のコラム

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ここでは大学受験とは関係ないですが「脳」についてお話しします。
ちょっとしたブレイクと思って読んでください。

昔の人の脳への解釈

記憶は脳内のさまざまな場所に散らばっていると信じられていた。

オレンジの果肉のように、思考を支える部位全体に広がっているというのが当時の科学者の見解だった。

何しろ、個々のニューロンにほぼ違いはない。

あるとすれば、発火するかしないかの違いくらいだ。

記憶の形成に不可欠だと思われる部位は一つも見当たらなかった。

19世紀の時点で、言語などいくつかの能力については、それぞれ決まった部位がつかさどることは明らかになっていた。

しかし、例外もあるらしいということがわかった。

1940年代に入とると、神経科学者のカール・ラシュリーが、迷路の抜け方を学習したラットの脳のさまざまな部位に外科的損傷を与えても、迷路を抜けることにほとんど影響しないことを実証したのだ。

記憶をつかさどる場所が1カ所に決まっているとすれば、損傷のどれか一つが深刻な問題を招いているはずだ。ラシュリーは以上のことから、脳のあらゆる部位で記憶を支えることが可能だと結論づけた。

脳のどこか一部が損傷しても、別の部位に代わりが務まると考えたのだ。

ところが、1950年代からこの理論の崩壊が始まる。

まず、成長途中の神経細胞(要はニューロンの赤ちゃん)が、まるで役割を事前に割り当てられているかのように、特定の部位に集まるようにプログラムされているという事実が判明した。

「君は視覚の細胞になるのだから、後ろ側へ行きなさい」「ああ、そこの君は運動ニューロンになるのだから、運動野へ行くように」と命令されているようなのだ。

この発見によって、「脳の部位の役割は交換可能」という仮説の土台が崩れた。

そして、英国生まれの心理学者プレンダ・ミルナーとヘンリー・モレゾンという男性との出会いがとどめを刺した。

モレゾンはコネチカット州ハートフォードに暮らす修理工だったが、激しく痙攣を起こすため、なかなか仕事が続かなかった。

何の前ぶれもなく突然倒れて冷たくなる

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地雷原を歩くような毎日では、日常生活を維持することは不可能だった。

1953年、27歳になったモレゾンは、ハートフォード病院の脳外科医ウィリアム・ビーチャー・スコヴィルに望みを託し、彼の元を訪ねる。

モレゾンはてんかんの一種を患っていたようだが、当時唯一の治療法として一般に知られていた抗てんかん薬は、どれもあまり効果がなかった。

スコヴィルは非常に優れた高名な外科医だった。

彼は、痙攣の原因は内側側頭葉にあると推測した。

内側側頭葉は脳の左右に一つずつあり(半分に切ったリンゴの芯のように左右対称に存在する)、そこには「海馬」と呼ばれる器官が含まれる。

この部分が、多くの痙攣性疾患に関与していた。

スコヴィルは、モレゾンの脳から海馬を含む組織を指の形に2カ所切除するのが最善だと考えた。

この手術は賭けだった。

とはいえ当時は、スコヴィルを筆頭に、脳外科手術でさまざまな精神疾患(統合失調症や重度のうつ病など)が治ると多くの医師が信じている時代でもあった。そして実際、モレゾンが痙攣を起こす回数は手術後に激減した。

それと同時に、モレゾンは新しい記憶を形成する能力を失ってしまう。

朝食を食べるたび、友人に会うたび、犬の散歩で公園へ行くたび、彼にはそれが初めてのように感じられた。

手術前の記憶はいくらか残っていて、両親、子どもの頃に住んでいた家、子どもの頃に遊びに行った森のことは覚えていた。

短期記憶は優秀で、電話番号や人の名前を暗唱して30秒くらいは覚えていることができ、世間話もできた。

新しい記憶を形成できなくなっても、同世代の若者と同等の注意力や繊細さを持ちあわせていた。

しかし、職に就くことはできず、彼は瞬間を生きるという誰よりも神秘的な生活を送ることになった。

大学受験生へ

この話は受験と直接関係していることではありませんが深く考えさせられる内容ですね。

あなたたちが勉強して記憶していくことがとても素晴らしいことで、恵まれていることだということを忘れないようにしてください。

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