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勉強を科学する。②【人気塾講師のコラム】

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脳にはさまざまな部位があり、それぞれに固有の働きがある。

嗅内皮質には嗅内皮質の、海馬には海馬の働きがあるのだ。

脳の右半球と左半球でも、その機能は異なる。

脳はストーリーを作る

感覚をつかさどる領域についても同じで、見たこと、聞いたこと、感じたことをそれぞれ専門に処理する部位がある。

それぞれの部位がそれぞれの仕事をし、それらが一体となって、過去、現在、起こりうる未来の記憶を絶えず更新し続けているのだ。

ある意味、固有の働きを持つ部位は、映画の製作チームを構成するスペシャリストのようなものだ。

カメラマンは撮影する構図を決め、被写体に寄ったり遠ざかったりしながら映像を撮りためていく。

音響技師は、映画に使用する音楽の録音、シーンに応じた音量の調節、雑音の排除などを担当する。

ほかにも、編集技師、作家、画像処理担当者、小道具担当者、映像にトーンや感情を加える作曲担当者をはじめ、請求書で正確な数字を管理する予算担当者もいる。

そして、すべてを決めるのが監督だ。各スペシャリストの仕事を一つにまとめ、それらを土台にしたストーリーを語る。

もちろん、ストーリーは何でもいいというわけではない。

観客の五感に「スペシャリストの仕事」を最高の形で伝えるものでないといけない。

脳は、何かが起きた瞬間にその「シーン」を解釈しようとする。

その場で、自身の私見、意味、背景事情を盛り込もうとする。それだけではない。

後からそのシーンを再構築することもある。

たとえば、上司から何かを言われ、後になってから「先ほどの上司の言葉はどういう意味だったのだろう?」と思うことがある。

そのとき、脳は実際に発言を聞いたシーンを精査しながら、もっと大きな流れのなかではどこにどう当てはまるかと考えている。

脳がつくるのは、自分自身のドキュメンタリー映画だ。

そしてこの映画の「製作チーム」は、各シーンの背後で起きていることに命を吹き込む。

記憶はどう形成されるのか。記憶はどう引きだされるのか。

大学受験も同じように

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受験勉強をしている人や普段勉強をしている人が記憶について考えたことはないでしょうか。

時間がたつにつれ、記憶が曖味になったり変わったり、あるいは明快になったりするように思えるのはなぜか。

また、自ら記憶の詳細を増やす、鮮明にする、わかりやすくするといった操作はどのように行われるのか。

先に述べたスペシャリストの働きは、こうしたことの隠喩なのだ。

このドキュメンタリー映画の監督は、映画学校の卒業生でも、取り巻きを従えたハリウッドの巨匠でもない。ほかでもないあなた自身である。

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