大学受験について

大学を受験するために知っておいてほしいこと

勉強というのは、すぐには結果が出ません。
きょう勉強したことがあした役に立つわけではないし、一度覚えたことがそのまま記憶に定着するわけでもありません。毎日、コツコツと勉強を続けても、その成果をなか実感できないのです。
まして大学入試も資格試験も、本番までには時間があります。半年あるいは1年後の受験をめざして、我慢強く勉強しなければいけません。司法試験のようにむずかしい資格をめざそうと思えば、法科大学院の受験から始まりますから、ときには数年の年月を費やすことにもなります。
当然、途中でくじけそうになったり、自分の努力に手ごたえが感じられなくて不安になることもあります。
こういったことはすべて、誰にでも起こります。意志が弱いとか、動機づけが曖味だとか、あるいは記憶力や理解力が不十分だからといった理由ではなく、そもそも人間は結果の出ないことを長く続けるのが苦手なのです。
したがって、ほとんどの人に失敗体験があると思います。いままでにも何度か「勉強しよう」と考え、挫折したことがあります。あるいは勉強したけれども思うような結果が出せなかったという人もいるはずです。

その決心を空回りさせてはいけない

塾の講師と生徒
そういった過去の失敗体験は、ひとまず忘れてください。
とにかくいま、「勉強しよう」と決心したことでスタートラインについたのだと考えてください。あとはすべて、これからの勉強次第です。
そこでいちばん大事になってくるのは、準備や計画もふくめていますぐ勉強に取りかかろうということです。グズグズしているとせっかくの決心がまた揺らいでくるからです。
すべての勉強にとって、じつはこのスタートこそが最大の壁になります。とくに社会人の場合、学生のようにはっきりとした勉強カリキュラムが設定されていませんから、「いまの仕事が一段落したら」とか「月末は忙しいので月が変わってから」といった調子で、自分でスタートを先延ばししがちなのです。先の長い勉強だから、1週間や1ヶ月、スタートが遅れてもかまわないだろうと考えてしまいます。けれどもその1週間や1ヶ月を仕事に追われて慌しくすごしてしまうと、せっかく決心した「勉強しよう」という気持ちがどこかに消えてしまいます。あるいは多忙な毎日が「これじゃあ勉強なんてまだムリだな」という弱気を生み出すこともあります。いままでにも何度か、そういった経験のある人だっているはずです。
そこで、この本を読むことでほんとうの勉強が実際に始まるのだと考えてください。
せっかくの決心を空回りさせないためにも、自分はもう、勉強を始めているのだと強くいい聞かせてください。

大学受験合格の第一歩は、「勉強法」を学ぶこと

受験勉強
勉強体験は誰にでもあります。
したがって、「勉強法」ぐらいわかっているつもりです。とくに受験生はそうでしよう。
資格試験や標準テストの合格をめざす人も、まず参考書や問題集を買えばいいのだろうと考えます。あとはそれをコツコツと読んだり解いたりして、本番に備える。じつにかんたんなことじゃないがと思うかもしれません。
けれども、ただそれだけのことなら勉強すれば誰でも試験や入試には合格できます。ところが現実には、合格する人と不合格になる人がいます。受験生だって同じで、学校の授業のほかにも参考書や問題集で勉強しているはずですが、結果はやはり合格と不合格に分かれるのです。
なぜそうなると思いますか?
与えられた条件に大きな違いはないのに、結果がはっきりと分かれるのは必ず理由があるはずで、わたしは「勉強法を知っていたかどうかの違い」だと考えます。

  • ——同じ条件なのに、合格した人は合格するための「勉強法」を知っていた。
  •  

  • ——努力はしたのに、不合格になった人はそれを知らなかった。

いちばん大きな理由はそういうことなのです。
そしてたぶん、過去の勉強に失敗体験をもつ人ほど、今度こそ正しい「勉強法」を知っておきたいと考えるはずです。
もうあんな失敗は繰り返したくない。
でも以前と同じやり方で勉強すれ制ばまた同じ失敗を繰り返すかもしれない。
まして車間人となれば、時間的な制約もあるしつき合いもあります。家庭をもっていれば家族サービスだってしなくちゃいけません。しかも以前に比べて記憶力が衰えたり、根気が続かなくなっている自覚すらあります。
そういったハンディを抱えながら、ふたたび勉強に取り組もうとしたときに、まず”正しい勉強法”を知っておこうと考えたあなたの判断は決して間違っていません。
勉強の第一歩は「勉強法」を学ぶことです。
知っているようで知らないのが勉強法なのです。

大学受験に成功するための”塾の勉強”って?

受験に「合格する」ための方法があります。
ただ勉強すればいいというわけではありません。
ここでいう受験には大学受験も入りますし、社会人の資格取得や標準テストも入ります。
わたしは合格する「勉強法」があると信じ、これまで20年以上にわたってはおもに大学受験について考えてきました。
●どうすれば受験に強くなるのか
●受験に強い人と弱い人の違いは何かということです。
そしてそれらは、社会人の資格挑戦にも十分に有効だという確信を深めております。というわけで、この本はどちらにも通用する内容になっています。
試験に強い人というのは、かけた時間をいかに「点」に結びつけるか、ムダなく実行している人です。
つまり、予習より復習重視、あるいは自分ができないところと勉強をすれば成績が上がるところの見極めや割り切りがよくて、バランスよく「点」を得ようとします。
そのためには、早い時期からの「過去間」は欠かせません。
わたしは「過去問サンドイッチ」という勉強法を提案していますが、これはじつに効率のいい勉強法になります。本文で確認してください。

受験の勉強

今回、わたしはこれまで提唱してきた合格するための勉強法を、「大切なことは1行でわかる」というコンセプトでシンプルにまとめてみました。
受験勉強(これはふつうの勉強とは違うことも本文でご説明します)に対する基本的な心がまえ、「過去間」の使い方、ノートの取り方、追い込み術、時間の使い方、スケジュール術、本番で1点でも多く取る法などをふくめ決戦に強くなるテクニックをなるべく短く並べてみました。
ここがうまくいかないとこれまでの努力がすべてふいになってしまうのが、受験であり、資格取得だからです。
日本は深刻な不況下にありますが、試験に強くなるというのは、じつは人生を楽しく生きる方法でもあるとわたしは信じています。
試験の成功とともに、ぜび人生の成功も勝ち取ってください。
試験に受かることは、始まりにすぎません。
天王寺にある修慶塾で働いている私は生徒にもそれをしっかりと教えています。

大学受験とは、自分の可能性を試すこと

大学受験のための塾での勉強
この本を手に取ったみなさんは、これから勉強しようと考えています。理由はさまざまでしょうが、とにかく「勉強するんだ」「勉強しなくちゃ」と考えていることだけは間違いないと思います。
すでに勉強をスタートさせている方も多いでしょう。資格取得のための勉強や、TOEICのような標準テストをめざす勉強、あるいは仕事の上で必要な知識をさらに深めたいと考え、専門書や参考書をそろえてコツコツと学んでいる人たちです。
もちろん、自分が希望する大学受験成功をめざして、必死で勉強している受験生諸君もふくまれます。
そういったみなさんに、わたしがまず申し上げたいのは、いまの気持ちをどうか大切にしてくださいということです。
実際に勉強を始めている人はもちろん、これからやってみようと考えている人でも、勉強の必要性に気がついたというだけでもとてもすばらしいことだと思うからです。
㈰まず、社会人の方に申し上げます。
社会人にとって、勉強は必須ではありません。
少なくとも、高校生のように期末テストが待ちかまえているわけでもないし、課題や宿題が出されているわけでもありません。やらなくてもすむのが社会人の勉強です。
まして多忙なビジネスマンは、日の前の仕事やスケジュールを消化するのに精いっぱいというのが現実でしょう。1日の業務が終われば、テレビを観たり本を読んだりお酒を飲んだりしてリラックスしたくなります。
けれどもあなたは勉強しようと決心しました。プライベートな時間をただくつろいですごすのでなく、あえて自分にもう一つのノルマを課してみようと考えています。その理由はただ一つ、「自分の可能性を試したい」と思うからです。毎日の仕事をこなすだけならいまのままでも十分かもしれませんが、もう一段、高いレベルをめざそうと決心したのです。不況のことも頭をよぎったかもしれません。
㈪受験生諸君にも同じことがいえます。
いまの力で入れる大学をめざすのではなく、さらにレベルアップさせて難関大学の受験は、「自分の可能性を試したい」からです。志望校の合格こそが、諸君の勉強の日標になります。
そういったみなさんの決心に、わたしはこころから拍手を送りたいと思います。そしてその決心を、できるかぎり応援するつもりで天王寺で塾講師として働いています。