大学受験について

【脳の記憶システムとは?】大阪塾講師のコラム

短期記憶

短期記憶で維持できるあいだだけ

スコヴィルは、モレゾンが抱える困難をモントリオールにいるふたりの医師に話した。

ワイルダー・ペンフィールドと、彼とともに働く若き研究者のブレンダ・ミルナーだ。

ミルナーは、数カ月おきにモレゾンに会いに夜行列車でハートフォードにやって来て、彼の記憶について調べるようになった。

それが10年に及ぶふたりの何とも不思議な関係の始まりだった。

ミルナーはモレゾンに対して次々に画期的な実験を紹介し、モレゾンは実験の目的をきちんと理解したうえで同意し協力した。

といっても、実験の内容を覚えていられたのは、短期記憶で維持できるあいだだけだったが。

その短い時間でふたりの協力関係が生まれたと、ミルナーは言う。そして、ふたりの共同実験が、学習と記憶に対する認識を一変させることとなる。

初めての実験はスコヴィルのオフィスで実施され、ミルナーがモレゾンに数字の5、8、4を 覚えさせた。

覚えさせると、ミルナーはオフィスを出てコーヒーを飲み、20分後にオフィスに戻って「数字は何でしたか?」とモレゾンに尋ねた。

モレゾンはちゃんと覚えていた。ミルナーがいないあいだ、頭のなかで繰り返し数字を唱えていたのだ。

「大変よくできました」ミルナーはさらにこう続ける。

「では、私の名前を覚えていま すか?」「わかりません。申し訳ない」とモレゾンが言う。

「記憶に問題がありまして」

「私は医師のミルナーです。モントリオールから来ました」「カナダのモントリオールですか。カナダには一度行ったことがあり、トロントを訪ねました」

「そうでしたか。ところで、数字はまだ覚えていますか?」

「数字?数字なんてありましたか?」

「彼は慈愛に満ちた人でした。とても我慢強くて、私が与えるどんなタスクにも積極的でした」

いまやマギル大学モントリオール神経学研究所の認知心理学教授となったミルナーは、私にこう語ってくれた。

「といっても、私が部屋に入るたび、初対面のような態度でしたけどね」

1962年、ミルナーはモレゾンとの画期的な研究成果を発表し(プライバシー保護のため、当時はH・Mというイニシャルが使用された)、彼の記憶の一部はまったく損傷を受けていないことを実証した。

ミルナーは、自分の手の動きを鏡で見ながら星の形を紙に描くというタスクを何度かモレゾンに課した。

それだけでも描きづらいのに、ミルナーはさらに描きづらくなる要素を加えた。

紙にあらかじめ二重線で星を描いておき、その線のあいだを迷路をたどるようになぞらせたのだ。

H・Mはこのタスクに取り組むたび、まったく新しい体験に感じた。

以前にそれをした記憶がないのだ。

しかし、回を重ねるごとにうまく描けるようになっていった。

「このタスクを何度も行うようになってから、あるとき、彼は私に言ったのです。

『思っていたよりも簡単でしたよ』と」とミルナーは言った。

ミルナーの研究の意味は、すぐには十分理解されなかった。

モレゾンは、新たに出会った人の名前や顔、新たに知った事実を覚えることはできなかった。

新しい情報として脳に記録することはできても、 海馬がないとそれを維持することができないのだ。

このことから、海馬とその周辺組織(外科手術で切除された部分)は、当然ながら記憶の形成に不可欠だということになる。

とはいえ、星を描くといった身体的な能力を新たに習得することは可能で、晩年には歩行器を使えるようにもなった。

この種の能力は運動学習と呼ばれ、海馬に依存しない。

つまり、ミルナーの研究は、脳が扱う記憶は少なくとも二つあると実証したのだ。

顕在記憶と潜在記憶

潜在記憶
その二つとは、顕在意識で扱う顕在記憶と、潜在意識で扱う潜在記憶だ。

たとえば、歴史や地理の授業で今日学んだことを、さかのぼって思いだしたり書きとめたりすることはできるが、サッカーの練習や体育の授業で学んだこととなるとそうはいかない。

こういう身体的な能力の向上に、思考はあまり必要ではない。

6歳で初めて自転車に乗った曜日を覚えている人はいるかもしれないが、実際に乗るのに必要な身体的能力を正確にあげることはできない。

バランスをとる、ハンドルを操作する、ペダルを遭ぐといった能力はいつのまにか身について、あるとき突然乗れるようになる。

乗り方をさかのぼって思いだす必要も「勉強する」必要もない。

こうして、記憶は脳内のさまざまな場所に散らばっているという理論は間違いだと判明した。

記憶を形成する部位は決まっていて、その部位は記憶の種類によって異なるのだ。

大阪の塾講師が語る①【受験は努力だけでは報われない】とはどういう意味か…

大学受験ガリ勉

私は「ガリ勉」だった。

昔の自分を表現すると、どうしてもこの言葉になる。

何しろ私は、細かいことがいちいち気になり、暗記用の単語カードを自作する子どもだった。

40年近くたったいまでも、努力家で、勉強の虫で、働きバチだったこの少年が、安物のデスクランプの明かりに目を細めながら、

教科書にかじりついている姿をはっきり思い浮かべることができる。

この少年は朝も早く、5時には勉強を始めていた。

高校2年生になって習得できないことが出てくると、胃に不快感を覚えるようになった。

二次方程式の解の公式、アメリカがルイジアナを買収したときの条件、武器貸与法、平均値の定理、

詩人のT・S・エリオットが隠喩を用いて皮肉を表す用法…。

こんなのは序の口だ。

私は学校の授業にすっかりついていけなくなった。

だから、不安しかなかった。時間が足りないのに覚えることは多すぎて、なかにはとても理解できそうにないこともある。

そういえば、不安とは別に自分を疑う気持ちもあった。ただしこちらは、階下の風呂場でしたたる水滴と同じで、自覚するのに時間がかかる。

たとえば、運動能力の高い同級生が汗一つかかずに山小屋へたどり着くのを見たとき、

私はルートを間違えて遠回りしたのではないかと自分で自分を疑った。

私はご多分にもれず、学習は自己の鍛錬がすべてだと信じて大きくなった。

賢い人々が暮らす、知識という険しい岩山をひとり孤独に登るつらい作業、それが学習だ。

私の場合は、好奇心や疑問からというよりも、その山から落ちるのが怖くて勉強していた。

そうした不安から、変わり者の生徒が誕生した。

勉強に自信が持てない時代

勉強に自信がない
弟や妹にとってはミスター・パーフェクトで、ほぼAをとる真面目な兄だった。

だが、クラスメイトにとっての私は透明人間だった。

自分の理解に自信がなさすぎて、ほとんど発言しなかったのだ。

こうした二面性を持つようになったからといって、当時の私、両親、教師の誰のことも責めるつもりはない。

どうして責められるだろう?学習にある程度没頭できるようになる方法と言えば、ソリ犬のごとく自らを駆り立てること以外に誰も知らなかった。

勉強で成功するためにもっとも重要なのは努力だと、誰もが思っていた。

だが、私はすでに努力していた。もっと違う何かが必要だった。そして、その何かはきっとあると感じていた。

最初のヒントとなったのは同級生の態度だった。

私のクラスには、代数や歴史の授業で追い詰められた顔になることなく実力を最大限に発揮できる生徒が数人いた。

その場ですべてを理解しなくてもよいというお墨付きをもらっているかのように振る舞い、

彼らが疑問を口にすると、それ自体が貴重な武器に思えた。

だが、私にとって本当の転機となったのは大学入試だった。私が勉強してきたのは、もちろん、 大学に入るという使命のためだ。

だが、その使命は果たせなかった。

何十という願書を送ったが、見事に閉めだされた。

何年にもわたって水夫のような苦労を積み重ねたというのに、最後に残ったのは、一握りの薄い封筒と補欠合格の1枠だけだった。

その大学に入ったものの、1年で退学した。

大学受験本番!学習塾で教える「3つのポイント」 – 大阪天王寺 –

大学受験のサービス問題

1.ミスを拾うと新たな問題を1問解いたことになる

 解けたつもりの問題でもかならず見直しをしてください。

たった1問でもケアレスミスに気がつくと、ものすごく得した気分になります。

 どんなに集中していても、ミスをするのが人間です。

完ぺきに仕上げたつもりの仕事に思わぬミスが見つかって愕然とすることはしばしばあります。

 試験もまったく同じです。気を張りつめて細心の注意を払っているようでも、信じられないミスや勘違い、見落としがあります。

仕事ならやり直せばすみますが、試験の場合は、あとで気がついても手遅れです。

 したがって、時間が余ったらしつこいくらいに答案を見直してください。

中には試験場から出て行く人もいますが、格好つけても点数は増えません。

 ミスを一つでも発見すると、自分だけ優位に立った気持ちになります。

思わぬ拾いものをしたのですから、新しい問題を解いたことと同じです。

この得した気分が答案用紙全体をさらに注意深く見直しさせることにもなるのです。

2.解けない問題の中にも「サービス設問」が混じっている

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 捨てたつもりの問題でも、最後のチャンスで得点の可能性があります。

いくつかの設問の中には基礎的な知識で解けるサービス設問が混じっているからです。

 苦手な分野から出題されると、パッと見て「これは捨てよう」と判断する場合もありますが、時間が残っていたらかならず挑んでみることです。

 たとえば長文のあとにいくつかの設問がある場合、諦めずに読んでいくと「ここはわかるぞ」という問題がふくまれています。

全体の難度は高くても、それぞれの設問の難度にはバラつきがあって当然だからです。そういう設問を一つでも拾えれば着実に得点アップにつながります。

 それから試験問題全体を解くことで、頭の中が整理されてきます。

それによって棚上げしていた問題を解く糸口が浮かんだり、自信のなかった問題でもべつの問題がヒントになって突然、答が浮かんでくることもあります。

つまり、試験終盤には、問題を解く能力が開始直後より高まっていることが多いのです。

だから諦めてはいけません。

3.合格を勝ち取った瞬間からほんとうの勉強が始まる

大学受験合格
 受験勉強を通して得たノウハウと自信は、ほんとうの勉強にもかならず役に立ちます。

合格した瞬間から新しいチャレンジが始まるのです。

 ここまで受験に合わせた勉強法を解説してきました。

ひとことでいえば、問題を解く勉強、合格点を取るための勉強です。

 けれども勉強の最終日標は、自分自身で課題を設定して知識を学び、それを価値あるものへと高めていくことです。

 そのとき、ここまでの努力が生きてきます。受験勉強で培ったノウハウや自信というのは、

ほんとうの勉強への基本的な心がまえをつくってくれるからです。目標を決めて計画を立て、

時間を活用しながら自分の意思を貫くというのは、どんな勉強にも欠かせない態度になってくるからです。

 現代はもはや、一つ資格を取ればそれで安泰という時代ではありません。希望する大学に合格すれば安心という時代でもありません。

つねに勉強する人間だけが自分の夢を実現します。

合格は、その夢に向ってのスタートだということを忘れないでください。

【受験当日】落ち着いて、まずは名前を書く。

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受験番号と名前を書けば落ち着きが生まれる!

 受験というのは会場に出向いて答案用紙に名前を記入することです。

そこから先はふだんの問題集を解く勉強と同じです。

 自分の席について問題用紙や答案用紙が配られると、誰でも緊張が高まります。

通常は裏返しで配られ、開始の合図で始めて問題を目にするわけですが、おそらくその瞬間がいちばん緊張するときでしょう。

 けれども受験というのはまず、答案用紙に受験番号と名前を書くことから始まります。

模擬試験のとき以外は、この受験番号と名前の記入をしてこなかったわけですから、ここが最初の関門と考えてください。

 早く問題を解きたいという気持ちからつい焦ってしまう人もいますが、時間的な差が生まれてもほんのわずかです。

あわてないで自分の名前と受験番号を記入してください。それだけで落ち着きます。

それでじつは、試験の半分は終わったようなものです。

あとはいつもの気持ちに戻って問題を解くだけでいいのです。

確実に解ける問題をまず1問解いてみよう

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 ピッチャーでも最初のストライクを取って落ち着きます。

本番の試験でもまず1問、解いてみましょう。「よし、大丈夫だ」という気持ちになります。

 試験開始と同時に、第1問目から猛スピードで解いていく人がいます。

練習問題のようにやさしい順に設問が並んでいるのならともかく、このやり方でいきなりむずかしい問題に出くわすとどうなるでしょうか?

 第1問で思わぬ時間を取られてしまい、あげくに解けなかったりすると、残り時間も気になってさっそくパニックを起こしかねません。

 そこでまず、解ける問題を1問解く。

これはよく知られた方法ですが、わたしも受験生に勧めています。

とにかく1問解いて、「大丈夫だ」という平常心を取り戻すことです。

 1問解いたら、今度は問題全体に目を通してください。

これまでに過去問できちんと練習していれば、ざっと見ただけで「ああ、この辺はよく出ていた問題だな」とか、「ここは解けそうだな」というのがわかります。

そういった問題を、全体の時間を考えて「20分ずつで解いていこう」といった戦略を立ててください。

ついに大学受験前日!本番直前の過ごし方について

受験勉強

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本番の直前も休み時間もガツガツ勉強すること

 いよいよ本番の試験です。ここでも直前までノートを広げたり暗記力ードに目を通してください。

達観するのは試験が終わってからでいいのです。

 試験には使い慣れた参考書や暗記カードをもち込んでください。

「ここまで来たらもう、なるようにしかならない」という達観はまだ早いのです。

たとえ目を通さなくても、付箋がたくさん挟んであったりマーカーで塗りつぶされた愛用の参考書が手元にあれば、それだけで気分が落ち着きます。

 もちろん、試験開始直前まで愛用の参考書に目を通したりカードをめくって勉強すべきです。

直前になって「アレはどうなんだっけ?」という不安が生まれたときでも参考書を読めば解消します。

その問題が本番で出されることだってあるのです。

 直前に気になることが浮かんできても、調べる手立てがなければ不安感がふくらんできます。

万が一、その部分が出題されたらショックでガタガタになってしまいます。

逆に目を通していれば、こんなラッキーなことはありません。

とにかくギリギリまで勉強していたほうが安心して本番を迎えられるのです。

前夜の寝不足と試験の出来は関係ない!

寝不足の受験生
 試験前夜に熟睡できる人はそれほどいません。

「眠れなかったい」と焦るより、「一晩くらいどうってことない」と自分にいい聞かせてください。

 もちろん前夜はよく眠ることが大事ですが、ホテルに泊まって環境が変わる人もいます。

自宅にいても緊張感で寝つきが悪くなるのは当然のことです。

 そういう場合は、「この緊張感を保てば明日は大丈夫だ」と考えてください。

「眠れないのは誰でも同じだろう」でもいいです。

「眠らないとまずいぞ」という焦りがいちばん「まずい」のです。

前も「よく眠れなかった。大丈夫だろうか」と不安が残ってしまうからです。

 それにいくら眠れなかったと感じても、短い時間の熟睡は何度か繰り返しているものです。

一晩中、動き回ったわけではないのですから、生理的な疲れはありません。

あとはこころがどっしりかまえればいいのです。

念のためつけ加えますと、(社会人は)アルコールは控え目にしてください。

度がすぎるとかえって眠れなくなるし、翌日に悪影響が出ます。

大学受験当日に向けての心構えはしっかり!

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試験会場の下見はすでに本番の一部と思え

 自宅やホテルから試験会場への道順を確認したり、電車の所要時間を確かめるだけが下見ではありません。

本番と同じ状況を想定して不安のないように備えてください。

 会場の下見は試験が行われる「曜日」と「時間」に合わせて実行してください車の混み具合や、交通機関の所要時間も本番と同じものを体験しておかなければ下見になりません。

 たとえば昼にのんびり下見しても、当日は通勤ラッシュで予想外の時間がかかることもあります。

駅からの道順も同じで、人通りの少ないときに下見すると混雑したときに目印の看板やコンビニを見落とすことも起こりうるからです。

 会場内の下見が可能でしたら、かならず中に入ってみてください。

教室の場所を確認しておくだけでも安心します。とくに大事なのはトイレの場所です。

試験当日は休憩時間のトイレが混雑しますから、事前に場所がわかっているだけでもあわてずにすみます。

昼食をコンビニで買うつもりならその場所も覚えておくこと。

昼休みに休憩する場所も決めておくこと。そういった入念な下見が本番での落ち着きを生み出してくれます。

試験当日、ティッシュは余分にもっていくべし

受験当日のティッシュ
 冬の暖房、夏の冷房など外気と会場の温度差が大きいことはしばしばあります。

すると鼻水が出やすくなります。グズグズした鼻では試験に集中できません。

 当日のもち物チェックは前日にリストをつくって入念に行ってください。

とくに忘れやすいのがティッシュと予備の消しゴムです。会場で消しゴムを落としたら大いに困ります。

使い古して丸くなった消しゴムより、角のある新品の方が便利。

 ティッシュは鼻水対策だけでなく、お腹の調子が悪くなったときにトイレットペーパーが切れていても代用できます。

いざというとき安心できるのです。

 もち込み可能なものは受験要項に明記されていますから、たとえば鉛筆削りのようなものでも可能とあれば迷わずもち込んでください。

 とにかく本番で忘れ物をすることぐらいバカバカしいミスはありません。

受験票はもちろん、財布や指定された筆記用具、あるいは電卓や辞書のもち込みが許可されている場合もありますから、くれぐれもチェックを怠らないことです。

大学模試は最高の刺激!楽しんで受けよう

大学模試を受ける

大学模試はドキドキ、ワクワク、受験勉強には最高の刺激になる

 大学模試は設問形式や時間が本番と同じに設定されています。しかも合格をめざす人間が大勢集まってきます。こんな刺激的な体験はないと考えてください。
 たとえば地方に住んで一人で勉強している人は、出費はかさみますが可能なかぎり大都市での模試を受けることを勧めます。会場で出題傾向などの最新情報を知ることができます。同じように勉強している人たちに囲まれると大学受験の現実感が湧いてきます。本番の試験の時間配分がわかります。
 こういった体験はすべて、仕事と両立させながら勉強している社会人にはいい刺激になります。一度でも大学模試を受けると、結果はどうあれ「やるしかないぞ」といっ意欲も強まってきます。
 しかも模試に出た問題は、きちんと解説を読んで復習することでより強く記憶されます。自分の弱点がはっきりしてきますから、参考書や問題集で勉強する場合にも範囲を絞って集中できます。
 おカネをかけた分は十分に取り戻せるのが模擬試験なのです。受けるkとを勧めています。

単純ミスを気にしない人は、不合格!

単純ミスを気にしない人は大学不合格
 試験は結果がすべてです。わからなくて解けない問題も、単純ミスで間違えた問題も得点できなかったという意味ではまったく同じことです。
 模試でも問題集を解く場合でも、単純ミスを「できたこと」にする人がときどきいます。「不注意なんだから気にしなくていい。落ち着いてやればできたんだから」と考えるのです。
 でもそんな考えは本番では通用しません。できるはずのことができないというのはエラーですが、エラーした人間が負けるのは大学受験でもスポーツでも同じ。
 そこで単純ミスを軽視しない勉強を心がけてください。自分がなぜミスを犯したのか、その原因を考えて対策を立てることです。
 たとえば問題文をきちんと読まないクセがあるとわかったら、問題集を解くときか設問にアンダーラインを引いてポイントを確認しましょう。単語のスペルや計算ミス、用語の記憶違いが原因なら、繰り返しチェックし直して同じ間違いを犯さないようにしてください。

受験勉強は「過去問サンドイッチ」方式を勧めたい

合格するために
 合格点を取る勉強と割り切ればやり方もシンプルになります。過去問を解く→弱点に重点を置いて勉強する→また過去問を解く。この繰り返しでいいのです。
 大学受験勉強に「奇策」はありません。
 ただし「愚策」はあります。テキストや参考書を隅から隅まで理解しようとするのは愚策です。実力に合わない問題集を解くのも愚策です。
 では正しい勉強法は何か? 最短距離で合格点をクリアする勉強法です。
 それにはわたしが「過去問サンドイッチ」と名づけた方法がいちばんシンプルで、効率的になってきます。シンプルですから説明もかんたんです。
 まず過去問を3年分くらい解いてみます。間違いの多かった分野や科目を抜き出し、その部分を参考書やテキストに戻って周辺知識を理解する勉強に切り替えます。
 ひと通り終わったら、さらに過去問を3年分くらい解いてみる。この繰り返しです。実力が備わるまでは1年分ずつでもいいです。迷いを捨ててシンプルな勉強法に徹することです。

「今年はダメでも…」と考えている人は大学受験に失敗する

大学受験

 試験日までに時間が足りないとか、勉強が間に合わないかもしれないという不安は誰にでもあります。そこで諦めた人から落ちていくと考えてください。
 どういう受験であれ、まず一発合格をめざすこと。

そのための技術や心がまえはこの本で説明していきますが、大前提として、あなた自身に「絶対合格するぞ!」という気持ちがなければいけません。
 もし「今年はダメでも」と思ってしまうと、毎日の勉強に緊張感や集中力が欠けてきます。

いい訳も入り込んでくるでしょう。実際に不合格になったとしても、「どうせ腕試しのつもりだったんだ」と自分に弁解できます。
 かりに次回の大学入試をめざして受験勉強を再開し、それなりの力がついたとしても、合格できる保証はありません。

むしろ気の緩みを引きずったままで時間が流れてしまい、あと一歩が及ばなかったというケースはしばしば起こります。迷いをふり切る意味でも、めざすは一発合格と決心してください。

満点でなく、「合格点」をめざす学習計画を立てよう

受験の合格点
 受験勉強は合格するための勉強です。満点をめざす勉強ではありません。完全主義に陥らず、本番までにポイントを稼げる学習計画を立ててください。
 ほとんどの試験は数科目、あるいは数分野から出題されます。

一つの科目を完ぺきに理解しようと思えばそこで時間を費やしてしまい、結局、手の回らない科目や通り一遍目を通しただけという科目ができてしまいます。
 このパターンは得点を考えたときに非常にまずいのです。

じっくり勉強したつもりの科目が満点を取れるとはかぎらず、手の回らなかった科目は得点が期待できません。結果として合計点が低くなります。
 そこでまず、大学の試験日から逆算した学習計画を立て、多少の不安が残ってもその計画に従ってすべての科目を勉強し終えるようにしてください。

理解できないところやむずかしい分野は飛ばしてもいいのです。
 取れるところで確実に得点を重ねる計画が、合格につながるのだと考えてください。

まず計画を立て、それに合った問題集をそろえるべし

計画的な受験勉強
 受験は締切があります。むやみに分厚い問題集を買っても、やり残しができたらなんにもなりません。

 受験のための勉強は計画優先で進めましょう。たとえば1ヶ月でできる勉強の量がわかったら、それに合わせて問題集や参考書をそろえるということです。
 ここで、1ヶ月の目標分量が終わりそうもない問題集を買ってしまうと、次の月の予定が大きく狂います。

予定に無理に合わせればやり残しができます。すると、どの科目や分野も中途半端なままで本番を迎えてしまいます。
 それを避けるためには、薄くてもいいから確実に終わらせることのできる問題集をそろえてください。

時間が余ったら繰り返し勉強してもいいですし、理解が進んでペースが上がってきたらもう1冊、問題集を買ってきてもいいです。

これはムダにはなりません。
 最初から時間切れになりそうな問題集を買ってしまうと、気持ちに焦りが生まれてかえって自信を失うことになります。
その結果大学受験がうまくいかないなんてことになりかねません。

次の記事を読む → 【受験勉強をする環境は必ずあります!】

あなたの得意な分野で受験に挑む!

どうせ勉強するなら「勝てる分野」で勝負すること

 苦手な分野の勉強は苦しいだけでなく、自分に自信をもてなくなります。あなたが選んだ勉強は勝てる分野の勉強なのか、冷静に問いかけてみてください。
 季節の移り変わりや自然に興味のある人が、気象予報士の資格をめざして勉強するのはOKです。

でも数学が苦手な人が税理士をめざしたり、財務や金融の勉強をしようと思ってもよほど強い動機づけがなければ続きません。

 そこで、自分が取り組もうとしている勉強は「勝てる分野」なのかどうか、参考書や問題集を読んでみてチェックしてください。そこで「苦手な分野ばかりだな」と思うか、「これなら勉強すればなんとかなる」と思うかが分かれ目になります。天王寺の天王寺で教えている塾の生徒にも同じことを伝えています

 大学受験の場合でも、入試の受験科目や配点、出題傾向といったものを調べて、それが自分の「勝てる分野」かどうかで、志望校や学部を選ぶべきです。少なくとも、偏差値や模試の合否判定だけで志望校を選んではいけません。

 といっても、いまの時点で理解できないから諦めようという意味ではありません。たとえむずかしそうでも、「こういう分野なら嫌いじゃない」と思えればいいのです。

売れている参考書や問題集には「売れるわけ」がある

天王寺のの受験対策参考書
「わかりやすい」「使いやすい」「充実している」といった長所があるから売れます。

総合点が高いのです。初級者にも安心して使えます。
 目立つところに20冊30冊と平積みされている本があれば売れている証拠です。

書店は売れ行きがよければ大量に仕入れます。
 奥付(本の最後のページ)を見れば、初版がいつごろ出てどれくらい売れているのかもわかります。

ロングセラーの参考書や問題集も、それだけ色あせない内容だということです。書店の人に評判のいい本を尋ねてもいいでしょう。
 資格試験をめざす場合は、セミナーや予備校の講師が書いている本も狙い目です。なんといっても受験のプロですから、内容もわかりやすくてしかも最新の情報や傾向がわかるようになっています。

 いちばんまずいのは、内容もろくに見ないで出版社が大手だからとかその分野で有名だからといった理由で買ってしまうことです。
 あくまで内容第一で選んでください。

できない人ほど「むずかしい参考書」に手を出す

難しい参考書
 わかることから始めていくのが勉強の基本です。背伸びや見栄は禁物。むずかしい参考書は所有欲を満たしても理解力を伸ばしてはくれません。
私も昔はそれで悩まされましたし天王寺の生徒も悩んでいる方が大勢います。
 むずかしい理論や専門用語に出合うと、わたしたちはなんとなく勉強した気分になってしまいます。とくに社会人の場合は、どんな分野の勉強でも、いまさら初心者けの本に手を出すのは格好悪いような気がします。

 たとえば資格試験をめざす場合でも、書店のコーナーに並んだ参考書の中から細かい活字が多くて中身のつまった本を選んでしまい、イラストや図解の多い本、ページ数の少ない本は敬遠しがちです。

「初心者向けの参考書はすぐに物足りなくなるだろう」と考えて、レベルの高いものを選ぶ傾向があります。
 でも自分の実力より上の参考書は、まったく役に立ちません。

 読んでもさっばりわからないのですから、勉強の入り口で「我慢」と「退屈」を強いられ、そこで挫折する可能性が高いのです。

大学受験は自分との戦い…学校や塾の受験仲間を意識しよう

すべての受験はたった一人の闘いになります。

孤独感というのは、社会人の勉強にとって想像以上に大きなものです。よく受験勉強は孤独な戦いだといいますが、たとえば大学受験をめざす高校生なら毎日、同じ目的をもった仲間たちとすごせるのです。

そこでいろいろな悩みを打ち明け合ったり、ときには気晴らしに遊んでみたり、苦手な科目を教えてもらったり情報交換したりといった、さまざまなコミュニケーションが取れます。自宅で深夜、机に向かっているときでも、「いまごろはみんなも勉強しているんだ」と思えば決して孤独ではありません。

社会人の受験勉強
ところが社会人の勉強には、通常は励まし合う仲間もいないし悩みを相談する相手もいません。情報も乏しく、自分のレベルを客観視できる機会もありません。仕事の疲れも手伝って、一人で机に向かっていても心細い気持ちになってくることがあります。その心細さをどう乗り越えていくかというのも、社会人の勉強法の大切なテーマになってくるはずです。

そして同じことは、共通の目的をもった仲間がいるはずの受験生にも当てはまります。どんなに励まし合っても、勉強というのはつまるところ、たった一人の地味な作業になるからです。誰でも、不安や心細さと向き合いながら、塾などに通い、それを乗り越えてきたのです。

もちろん、その方法はかならず見つかります。
この本の中でもさまざまなアドバイスを試みますが、何よりもあなた自身が「勉強しよう」「合格しよう」という前向きな気持ちになったのですから大丈夫です。
孤独感や心細さを乗り越えさせるものは、その朗らかな向上心になってきます。

事実、すでに大勢の人が、「勉強しよう」、「大学受験に合格しよう」と決心してやり抜き、夢や目標を実現させています。あなたもいま、そのスタートに立ったことをどうか自分の喜びとしてください。道すじ(勉強法)はすべて、この本に簡潔に示します。

あなたに「大学合格」の瞬間が訪れる!

大学受験でも資格取得でも、どんな勉強でも決して忘れてはいけない気持ちがあります。
それは「自分を信じる」ということです。
このことだけは、長く受験や勉強の世界に関わり続け、大勢の受験生と向き合ってきたわたしが自信をもっていえることばになります。
「飽きっぽい」
大いに結構です。わたし自身、あきれるほど飽きっぽくて集中力のない人間です。
「勉強が嫌いだった」「受験が嫌い」
気にすることはありません。世の中に勉強が好きという人間がいるならぜひ会ってみたい、わたしは本気でそう考えます。
「自信がない」
最初は誰でもそうです。スタート地点で自信に満ちているのでしたら、勉強なんかしないでいきなり大学受験すればいいのです。
とにかくどんな不安があったとしても、「勉強しよう」「合格しよう」と決心したのはあなたです。
あとは自分を信じて、最後までやり抜くしかありません。
塾や学校で勉強していることを信じていくしかないのです。

勉強は続けることで自信を育てます。
予定通りに進まなくても、たとえ30分でも机に向かって参考書を読んだり問題集を解いたりすることで、自分が前に進んでいることを実感できるからです。停滞してはいないという実感ほど、わたしたちを励ますものはありません。
だから勉強している人はいつも明るく、元気です。
あなたが受験生ならそのことは実感しているはずです。塾で見かけるライバルや受験仲間の顔を観察してみるといいかもしれません。

社会人の方でも、受験生のころを思い出してみてください。決してつらい日々ばかりではなく、勉強することで気持ちが張りつめたり、夢がふくらんだりしたはずです。
みなさんの決心は間違っていません。最後まで自分を信じて、朗らかな気持ちで勉強に取り組んでください。
「自分を信じてよかった」
合格を勝ち取った人は、この短いことばがこころに浮かんできます。みなさんにも、きっとそんな瞬間が訪れることを祈っています。